蓮見 和章

「ジャパン」を背負う心構え~ラグビ-W杯2011開幕!!

 こんにちは、広島事務所の蓮見です。

 さて、今夏のスポーツイベント、世界陸上が終わりました。木下弁護士のブログにもありましたが、ボルトのフライングは一つの物議をかもしだしましたね。ちなみに、フライングの基準は号砲が鳴ってから0.1秒以内に体が反応した場合とされています。医学的には人間の体は号砲から0.1秒以内に反応することはできない=号砲を聞く前にスタートを切った。と見なされるそうです。結果として号砲の後に反応したのなら問題ないのではないかとも思いますが、予測ではなくきちんと号砲を聞いてからスタ-トしないといけないということなのでしょう。

 しかし、この規定では、結局のところアスリートであればまじめに号砲を聞いて反応して0.1秒より遅れて反応する(人間の限界)よりも、号砲を聞く前から反応の予測をしておき、号砲から0.1秒ジャストで反応できるのが理想と思ってしまうのではないでしょうか。ボルトは、圧倒的な走力に比べ、スタートの反応時間をやや苦手としていたようです。世界記録を狙うために無意識のうちに0.1秒ジャストの反応を求めてしまっのだとすれば、ボルトは故意ではないですが世界記録を「フライングゲット」しようと試み,失敗したということになるのでしょうか。

 話しはかわりますが、今年世界最大のスポーツイベントが本日いよいよ開幕します。え、それって世界陸上じゃないの?と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、違います。ラグビーW杯です。スポーツ好きの皆さんでなければ特に興味を持たれている方は少ないと思いますが、今日ニュージーランドで開幕するラグビーW杯は、サッカーW杯、オリンピックに次ぐ規模のイベントで、今回で7回目、2019年の第9回大会は日本で開催されることもあり、関係者は日本代表(ジャパン)がどのような戦いをするのか非常に注目をしています。

 さて、そのジャパンの顔ぶれですが、30名の選手のうち外国出身選手がなんと10名(うち日本国籍取得者5名)います。

 「日本国籍取得していない選手も日本代表になれるの?」とお思いの方がいらっしゃると思いますが、ラグビーの場合はなれるのです。
IRB(国際ラグビー評議会)定款第8条1項では、一国の協会の代表チームになるためには、
 a 当該国で出生している。
 b 両親、祖父母の一人が当該国で出生している。
 c プレーする時点の直前の36ヶ月間継続して当該国を居住地としている。
の要件を満たせばたり、国籍は絶対的な要件ではないとされています。(一度一つの国の代表になればその後他の国で代表になることはできません。)

 なぜ、このような規定が設けられているかについて、ラグビー発祥地イングランドでは国籍(イギリス)より所属する協会が重要視されていることや、移民の多い国が強豪国になっている等いろいろな説がありますが、基本的にラグビーは他のスポーツに比べてグローバルな文化を持っているというのは間違いないでしょう。実際にこの規定を利用しているのは、日本などのラグビー発展途上の国だけではありません。ニュージーランド等の強豪国も外国籍の選手を多く代表に選出しています。

 この規定に対しては、当然「純粋な日本人のみで戦って欲しい。」「せめて外国籍の選手人数制限して欲しい。」「外国人ばかりでは応援できない。」等反対の声も多く聞かれます。また、ラグビーは2016年に行われるオリンピックで正式種目(7人制)となります。オリンピックは国籍主義ですから、これを機に今後代表選手に関する国籍を巡る規定は改正されるかもしれません。

 ただ、今回選出された外国出身の選手達はみな真剣に日本でラグビーに取り組んでいるようです。母国から家族と離れて、3年以上ラグビーに打ち込み、母国で代表になる権利を捨ててまでその国の代表を選ぶ。そういった覚悟で、日本の文化を吸収し、将来帰化することも真剣に考えてきた(現に5人の帰化選手がいることからも解るかと思います。)選手達、「ジャパン」を背負う心構えは十分もっているのではないでしょうか。

 日本を心から愛し、大和魂を持って戦う外国人出身選手を含めた「ジャパン」の活躍を期待したいと思います。