蓮見 和章

新ドラマへの期待

 こんにちは、広島事務所の蓮見です。

 さて7月に入り、地上波放送のテレビドラマも新クールに入りました。前回は、「JIN―仁」や「マルモのおきて」など、高視聴率番組が誕生しました。今回のクールは途中に完全地デジ化がなされることもあり、視聴率にどのような影響があるのかも気になるところです。

 ドラマ好きの私としては、新ドラマが始まるこの時期はいつもどんなドラマが始まるのだろうと純粋に楽しみな気持ちになります。もちろん、終わってみたら大した内容でなかったり、俳優さんの演技が期待はずれだったりすることも結構あります。でも、そうなると分かっていても、ついつい新ドラマには期待してしまうのです。

 そこで今回は、今クールの中で私なりに注目している新ドラマをいくつか紹介したいと思います。

 まず、最近神話が崩れつつある「月9」ですが、今日から始まる「全開ガール」(月曜21時)は、新垣結衣さん演じる新人弁護士と錦戸亮さん演じる「イクメン」のラブコメディです。上昇志向を持つ新人弁護士が、様々なトラブルに直面しながら、子育ての大事さに気付くというストーリーなのですが、弁護士という職種がドラマの内容にどこまで反映されているのかわかりません。ただ、現実の壁にぶつかり悩む姿や今までは感じることの出来なかった人や考え方に触れて自分を見つめ直すという部分は、実際多くの新人弁護士が経験することだと思います。ガッキーの成長と共に、子育てに関する法知識も出してくれたら面白いなあ、と思っています。

 火曜日では、「絶対零度~未解決事件特命捜査~」(火曜21時)「チームバチスタ3 アリアドネの弾丸(火曜22時)」に注目です。両方とも続編のドラマで今後もシリーズ化、映画化(バチスタは既に映画化されています。)される可能性のある作品です。私も、二つのドラマの前作を見ておりますが、犯罪捜査や医療現場と言った一般人ではなかなか入り込めない領域の闇の部分をある程度まじめに取り上げている作品だという印象があります。

 「絶対零度」では、前作は過去の未解決事件の捜査で法的には時効の問題がありましたが、今回は現在進行形の特殊犯罪の捜査がテーマということで、おとり捜査等の毎回行われる捜査方法が法的に許されるのかという視点で見てみたいと思います。

 「チームバチスタ3」は、医療のあり方や医療犯罪にメスを入れるドラマですが、医療過誤訴訟でも大きな問題となっている、医療現場の3つの壁、「専門性の壁(専門的医療知識がないと外部から問題を提起することが出来ない。)」「密室性の壁(手術等は密室の中で行われ問題が発見できない。)」「封建性の壁(医療界の相互批判を許さないという体質」をどう乗り越え、問題を解決していくのか注目です。また、今回はAi(死亡時画像診断)による犯罪究明をテーマとして、日本の死因究明制度の現実もテーマにしています。

 死因究明といえば、水曜日に放送される「ブルドクター」(水曜22時)も注目です。法医学の教授(江角マキコ)が、毎回死体に表れたさまざまな痕跡から死因を特定してく物語です。既に放送された第1回を見る限り、必ずしも「犯罪の真相を解明するための死因究明」という捜査機関主導の図式ではなく、死体から発せられたメッセージを読み取ることから事件性の有無を考えようという法医学者の視点に立ったドラマだと感じました。法は、社会の秩序や安全を守り、私達の権利を維持するために作られるものです。法医学は、そうした法が適正に執行されるように、医学的な観点から事実を解明していく学問で、死体解剖以外にも、虐待を受けている子どもの保護や親子鑑定など、弁護士業務でもお世話になる学問なので、今後も勉強を兼ねて見てみたいと思います。ちなみに、解剖等に関する法律によれば、基本的には解剖をするか否かの決定をする権限は警察署にあるのですが、一度死体が埋葬されると警察ではなく裁判所のみが解剖を実施する決定ができることになっています。第1回では、火葬される前になんとか解剖をしようと法医学者と警察署が躍動していましたが、火葬された後では警察は独断で解剖を実施することが法的にできなかったのですね。

 木曜日では、「それでも、生きていく」(木曜22時)が既に第1回の放送を終えています。このドラマは、昔妹を友人に殺された兄(瑛太)とその友人の妹(満島ひかり)の二人の交流から、犯罪被害者家族と犯罪加害者家族のそれぞれの人生にスポットをおいています。犯罪被害者の家族に関しては社会的にも注目され、これまでもドラマ等で扱われる機会は多かったと思うのですが、犯罪加害者の家族の人生描いた作品は少なかったように思います。特に、本作は少年犯罪で、犯行を行った少年が成人し既に社会復帰しているという環境設定なので、問題はより複雑です。既に放送された第1回ではこの点が強く意識された描写がなされていたと感じました。もちろん、あくまで一つの物語で現実とは違ったところもあるとは思いますが、一つの犯罪が産み出している大きな社会問題を自分なりに考えさせられる作品という意味では、一見の価値があるドラマかなと思いました。

 このほかにも、人気アニメからのスピンオフドラマ「名探偵コナン 工藤新一への挑戦状」(木曜24時)や、タイトルのみでなく、女性が男装して周囲にばれないように生活するという設定やAKBのメンバーが出演していることなど、多くの類似点がある「美男(イケメン)ですね」(金曜22時)と「花ざかりの君たちへ イケメン☆パラダイス2011」(日曜21時)、「JIN―仁」枠の後継で今やホームドラマでの実力派女優として人気のある観月ありささん主演の「華和家の四姉妹」等今クールも数々の新ドラマがスタートします。

 今回紹介した作品の中から、3ヶ月後に名作と呼ばれる作品が産まれることを期待したいと思います。その時はまたこのブログでご紹介しますね。